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2016年4月

2016年4月10日 (日)

AZDEN PRO-XD デジタルワイヤレス レビュー

殆ど辞めてしまったとばかりのこのブログ。忙しさにかまけ、更新を実に一年半もさぼっていたその間、GH4ユーザーには定番と化したNebula4000を買ったり、BlackMagic VIdeoAssistを買ったりしていたのだが、わざわざブログに書くほどのことも無かろうとスルーしてしまっていた。

しかし、当ブログでのメインコンテンツとなりつつある音声収録系のそれもメーカーさんが過去記事に答えてくれたかと思われるような商品について触れないわけには行かないと、久々の更新をする事とした。

さて、私の撮影は、相変わらず、小さなアコースティックス系のライブや、コンテンポラリーダンス関連の公演をワンマンのマルチカメラで対応というものが主なものだ。このニッチな撮影スタイル特有のニーズというものが発生し、それをあれこれ工夫してこなしてきている。

どういう事かと言うと、大掛かりな大ホールでのライブや舞台なら、マルチマイクをステージに設置し、マルチケーブルでミキサーに送りPA用と録音用に分けてミキシングして収録、となるだろうし、逆に小規模というより簡易な撮影なら音声はカメラ内蔵マイクで済ましてしまうであろう。

その間を取ると、カメラ位置にはそれなりのステレオマイク、PAから可能であれば一部(ボーカルなど)を分けてもらい、舞台前にもステレオマイクを一式セット。

これらをZOOM H6で6トラック収録というスタイルとなる。

ZOOM H6はその気になればカメラの上に取りつけ、外部マイクの様な感覚で使用する事も出来なくはないが、ある程度以上の撮影であれば、リグか三脚の脇等に取りつけ、音声を全て受けるミキサー的な使い方で運用する。まずその際、付属のマイクXYH-6は指向性も良く音も繊細で自然なので是非生かしたい事となる。

そんな訳で購入したのがZOOMのオプションECM-3

P1030246_2

これにより、XYH-6は自由な位置にセッティング出来る。いやむしろこれによりZOOM H6本体のセッティング位置が自由になると感じた。

しかしまだまだこれだけでは先に挙げたケースのような撮影を自由度高く楽にこなせるとは言い難い。そこで今回のメインとなるAZDEN PRO-HDデジタルワイヤレスマイクの登場となる。

2016.4.1発売開始との事でフジヤエービックに即出向いたものの入荷はなくデモ展示のみ取り寄せにて4/6に購入出来たのだが、他であまり扱っているショップが未だ見当たらない所から国内では最も早く購入したのかもしれない。

P1030247

本格的な実戦投入は未だだが、ざっとテストしてみた所の感想を列記してみる。

・予想より小さい

 一般的なワイヤレスの送受信機より二回り程度小さい印象で気軽に持ち出せる。

・操作性が良い

 シンプルながら必要なスイッチはそれぞれ指の感覚で判る様に工夫もされ、現場で焦る事はまず無さそうだ。

・到達距離はそれなり

 以前の記事で触れた同社のMOTO DW-05より若干飛びが良いようだが、やはり遮蔽物には弱い。

http://phkimura.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/azden-moto-dw-0.html

・音質は良い

 Lineレベルのステレオ入力に関し、アナログ部が特に足を引っ張る事もなく十分高品質な伝送が出来る。勿論96KHz 24bitなどではなく48KHz 16bitなのでオーディオ的品質が問われる収録のメインラインに使用するには少々気が引けるが、そこまででなければ十分有線の代用になりうる。

・付属ラベリアマイクはそれなり

WM61Aベースの自作ラベリアマイクと音を比較すると高音は篭りハイファイ感はあまりない。もっともWM61Aが異常とも言えるので、付属のラベリアマイクが劣る物とも言えない。

・マイク用の端子はモノラル仕様

マニュアルなどでもそのような感じに書かれているので当然では有るが、こっそり入力がステレオ対応だとプリアンプを別に用意する手間は省けた。

・マイクとマイクプリを別の用意し繋ぐ際ノイズが乗りやすい

2.4GHzの電波を出している都合上やむを得ない事であり、本機の問題とは言えないが、それなりにシールドのしっかりしたケーブルのマイクを使うか、送信機からマイクケーブルを離す等の注意は必要となる。

・マイク端子はiPhone仕様

普通のラベリアマイクはそのままでは使用出来ず、iPhone用の3.5mm 4極 TRRSの二番目のRがマイナス、Sがプラスという変則的なピンアサインで使用可能となる。サードパーティ製だとRode smartLav辺りが使用可能だと思われるが試してはいない。尚、付属の変換ケーブルで普通のピンアサインのモノラルマイクも使用出来る。

・遅延は14ms

以前紹介したMOTO DW-05が40msに対し、だいぶ短いので使い方によっては遅延を無視した収録も可能と思われる。実際30pで有れば1/2フレーム以下のズレとなるので、他のラインの音と混ぜるのでなければ大きな問題とはなりにくいかも知れない。

・送信機バッテリー持続時間は11時間

このくらい持ってくれれば通常の撮影で困る事はまず無いであろう。さらにUSBの5Vでの充電なのでモバイルバッテリーなどから緊急の補充電も用意だし充電中でも使用可能との事で安心だ。

 

役者さんにピンマイクを付けてセリフを録る様な撮影が滅多に無い私の場合、いわゆる従来からのワイヤレスセットは中々購入に踏み切れずにいた。しかし、過去にMOTO DW-05をわざわざ改造して同じような目的の物を作成し、それ活用していた私にとって、今回のPRO-XDは買わない理由が無かった。実践的には、やはり何らかのステレオマイクを小型のマイクプリ経由で送信機のライン入力に入れ、それを受信機からZOOM H6の二つのトラックで録るという使い方か、PAからのラインを受けるのに活用するつもりだ。

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この様な使い方をしたい向きには現在このAZDEN PRO-XDしか選択肢が事実上ない訳で、逆に本機以外を待つ理由も見当たらない。

なによりその小型さとバッテリーケアの楽さから、撮影には必ず持っていくアイテムとなりそうだ。

今後この商品がこのワンパッケージの状態にとどまらず、よりハイグレードなラベリアマイクや専用のマイクプリ内蔵ステレをマイクをオプション的な立ち位置で出すとか、受信機のみでも買えるようにするなど、使い込んでいけるシステムに展開される事を大いに期待する。

4/18追記

*送信機マイク入力端子は3.5mm4極TRRSとiPhone仕様となっている訳だが、ここにiPhone用マイク付きイヤフォンを差すと、マイクで音が拾えるのは勿論の事、そのイヤフォンに音が返される事が判った。説明書にもこの事は触れられておらず、隠し機能的な存在の様だ(音量は調整出来ない)

*付属のTRRSアダプターを送信機マイク端子に差せば、普通の3極プラグインパワー仕様のマイクが使用出来る。コンデンサーでプラグインパワーをカットしたXLRアダプタ(自作)を使用すればファンタ厶不要のRODE NTG2等も普通に使えてしまう。

*TRRSマイク端子はiPhone互換仕様なので、サードパーティのiPhone向けラベリアマイクは問題なく使用出来る。試しにSONY ECM-SP10とRODE SmartLav+を購入し繋いでみた。どちらも全く問題なく使用でき、付属マイクより幾らか音質も向上するようだ。RODE SmartLav+は小型ながらローノイズで音質もバランスが良く自然で素晴らしい。またECM-SP10も若干ノイズがRODEより増えるものの、低音までしっかり拾え、価格からは想像出来ない音質のものだと判った。

*自作のWM61AやWM62CUを使用したラベリアマイクは送信機のアンテナが近いとプーという発信ノイズのような音を拾ってしまう。プリアンプ経由でAUXインに入力してもその傾向は残る。ラベリアマイクに限らず、ステレオマイクを同じように使用するケースでもセッティング等によって同様のノイズが入る事がある。マイク自体の高周波ノイズ対策のしっかりした物をチョイスし、アンテナとマイクユニットの距離を調整する等の対策の必要が有るようだ。

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